紅茶の基礎知識
紅茶の基礎知識
紅茶とは
紅茶の樹について
茶の樹はツバキ科の常緑期で、 学名を「カメリアシネンシス」と言います。
紅茶も緑茶も烏龍茶も、元の茶の樹は同じで、それぞれの違いは製造方法によって生じます。
紅茶と他のお茶との違いは“発酵”
発酵の段階によって、茶の種類が異なります。酸化酵素の働きのことを、茶の製造工程の中では「発酵」といっています。
茶葉を発酵させて作るのが紅茶です。
紅茶は、摘んだ葉をしおらせて、機械にかけて揉み、十分に酸化発酵させて作るため、発酵茶といわれています。
ちなみに小発酵ならば「緑茶」、半発酵は「烏龍茶」になります。
- 中国種
- 樹の高さはそれほど高くなく、 葉は小型で薄くて固い。
酸化酵素の働きは弱く、 緑茶に向いています。 - アッサム種
- インドのアッサム地方で発見された茶樹。 樹は高く、葉は大型で肉厚。
酸化酵素の働きは活発で 紅茶に向いています。 - その他
- 中国種とアッサム種の交配、 交雑によって品種改良されたものです。
紅茶ができるまで
オーソドックス製法
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- 摘採(てきさい)
茶園の中で一定のレベルに成長した木から、その新芽とその下の2枚の若葉を丁寧に手摘みしていきます。これを「一芯二葉摘み」といいます。摘み取った生葉はそのまま工場に運ばれます。緑茶に向いています。
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- 萎凋(いちょう)
工場に運ばれた生葉を大きな網の上に広げ、下から温風を送ってしおれさせ ます。しおれさせることによって葉がやわらかくなり、次の揉念工程がやりやすくなります。この工程で、葉の水分が40%ほど蒸発。葉がしんなりとやわらかくなると同時に、葉の内部では成分の変化が始まります。
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- 揉念(じゅうねん)
葉を揉みこんでいきます。圧力をかけて揉む事で葉の細胞組織が壊れて、酸化酵素を含んだ茶汁が空気に触れ、酸化発酵が進み、緑の葉が茶色がかった色に変化していきます。また、揉念機にかけることで、葉の形も整えていきます。
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- 玉解き・篩い分け(ふるいわけ)
揉念した後の茶葉は塊になっているためほぐします。こうすることで、発酵が均 一に進んでいきます。
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- 発酵(はっこう)
20~25℃の室温と90%程度の高温度の中に2時間~4時間程寝かせます。 この工程で酸化酵素の働きが一気に進んで茶葉は鮮やかな赤褐色に代わり、 紅茶独特の甘い香りを放つようになります。
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- 乾燥
発酵が終わると100℃前後の熱風で水分2%程度になるまで乾燥させ、酸化発 酵を完全に止めます。茶葉は乾くと濃い茶褐色となり、貯蔵や輸送に耐えられる状態になります。この段階で出来たものを「荒茶(あらちゃ)」と呼びます。
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- 等級区分
荒茶をクリーニング後、ふるいにかけ、メッシュの大きさによって、形やサイズを揃えていきます。ここでの等級区分は、それぞれの茶葉の大きさや外観を表すだけで、品質の区分ではありません。
CTC製法(アンオーソドックス製法)
紅茶の産地
世界地図で見る、主な紅茶の産地
- インド(主な銘柄:ダージリン・アッサム)
- 年間100万トンもの紅茶を生産する世界一の紅茶生産国であると同時に、世界一の紅茶消費国でもあります。北インドのダージリン、南インドのアッサムが特に有名です。
- 中国(主な銘柄:キーマン・ラプサンスーチョン)
- 茶の総生産量は世界第1位ですが、生産されるのは主に緑茶です。紅茶の銘柄としてはキーマンやラプサンスーチョンが有名です。
- セイロン(スリランカ)
- 紅茶の生産量は世界第3位、日本向けの紅茶輸出量では世界第1位の紅茶大国です。ウバ、ディンブラ、ヌワラエリアなど有名な産地銘柄で知られています。
- ケニア
- 政治的・経済的安定を背景に、近代的な設備や豊かな労働力によって、生産 量が飛躍的に伸び、インドに次いで紅茶の生産量は世界第2位、アフリカでは 第1位を独走しています。
※生産量の情報は2020年統計に基づく
紅茶の等級
等級区分
- OP(オレンジ・ペコー)
- 細長く、よく撚(よ)られたサイズの大きな 針金状の茶葉。
サイズは7~11mm。 - BOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)
- 日本で流通しているリーフティの中で最もポピュラーなタイプ。
サイズは2~3mm。 - BOPF(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス)
- BOPよりもさらに細かく早く抽出されるので、主にティーバッグで使用されます。
- DUST(ダスト)
- 細かい粉茶上の茶葉。等級区分では最小。
サイズは0.5~1mm。