【セイロン】 茶葉の特徴やおすすめの飲み方をご紹介!
茶葉の特徴
2025-04-15
セイロンはスリランカ(光り輝く島)の旧国名ですが、いまでも「セイロンティー」の名前で親しまれています。日本が輸入する紅茶の中で常にトップの輸入量を誇り、日本人にとってのなじみ深い紅茶のひとつセイロンティーについて、その歴史や特徴、おいしい飲み方などをご紹介します。
セイロンの名前の由来と歴史
セイロン(スリランカ)はインド洋にある島で、「インドが落とした一粒の涙」と形容されるほどインドに近い場所にあります。交通の要衝だったこともあり、15世紀以降はポルトガル、オランダ、イギリスの植民地でした。セイロンには最初から紅茶の茶園がつくられたわけではなく、植民地時代に最初に植えられたのはコーヒーの木でした。セイロンでのコーヒーの栽培はなかなかの成功を収めていたのですが、1869年頃からサビ病という病気が島全体に広がり、コーヒーは壊滅的な被害を受けてしまいました。そこで代替作物として白羽の矢が立ったのが、当時イギリス本国で消費が伸びてきていた「紅茶」でした。
ちょうど時を同じくして、古都キャンディ近くでジェームス・テイラーというスコットランドから来た人物が茶園を開きお茶の栽培に成功。多くの人がそれに倣い紅茶の茶園が広がっていったのです。それから現在に至るまで紅茶産業は発展を続け、スリランカの主要産業の一つとなりました。ジェームス・テイラーはその功績から「セイロン紅茶の父」と言われています。
セイロンの産地は5大ではなく7大⁈ 茶葉の特徴と産地について
スリランカの面積は北海道とほぼ同じくらい。島の中南部が山岳地帯となっていて、主なセイロン茶葉の産地が広がっています。セイロンティーは茶園のある標高によって、ハイグロウンティー(高地産茶:海抜1200メートル以上)、ミディアムグロウンティー(中地産茶:海抜1200~600メートル)、ローグロウンティー(低地産茶:海抜600メートル以下)の主に3つに分類されます。
それぞれの茶葉の一般的な特徴としては、ハイグロウンティーは渋みと香りがそれぞれの産地ごとにはっきりしていて個性が強く、ミディアムグロウンティーは渋みが柔らかくなりクセがなく、どんな飲み方も出来るオールマイティーさがあります。ローグロウンティーは、渋みはあまり強くないですが、コクとパンチがある風味が特徴です。
セイロンティーには5つの有名な産地があり、「セイロンの5大紅茶産地」と言われています。
1)ウバ
世界三大銘茶の一つで、スリランカ南東部のハイグロウンティーの代表格です。カップに注ぐと真紅の色が広がり、刺激的な渋みがあります。中でも8月~9月ごろのクオリティーシーズンに採れるものの中には、メントールに似た独特のフレーバーがあるものがあります。
2)ヌワラエリヤ
標高1800~2000メートルまで茶園が広がるヌワラエリヤは、ハイグロウンティーの中でも一番標高の高いところに位置する産地です。冷涼な気候と朝晩の寒暖差を利用してつくられた紅茶は、淡いオレンジイエローの水色で、緑茶にも似たデリケートな味わいです。
3)ディンブラ
標高1200~1600メートルに位置したディンブラは、ウバと中央山脈をはさんで反対側、南西部のハイグロウンティーです。明るくオレンジがかった鮮やかなカップ水色で、爽快な渋みとくっきりした味わいが楽しめます。
4)キャンディ
昔のシンハラ王朝があった古都キャンディ。ミディアムグロウンティーの代表的な産地で、ジェームス・テイラーが最初に茶園を開いた場所としても有名です。ハイグロウンティーに比べて渋みは少しマイルドになり、クセがないので、アイスティーやバリエーションティーにぴったりです。
5)ルフナ
中央山脈の南側で生産されているルフナは標高600メートル以下のローグロウンティー。茶葉全体の色が黒っぽく、カップ水色は深い暗紅色をしています。渋みが少なく、ややスモーキーで芳醇な甘さが感じられます。
以上の伝統的な5つの産地に加えて、最近では、ウバ地区とヌワラエリヤ地区の間にある「ウダプセラワ」というハイグロウンティーの産地や、ルフナから分離した「サバラガムワ」というローグロウンティーの産地も加わって、「セイロンの7大紅茶産地」と言われることもあります。
セイロンのおすすめの楽しみ方
産地ごとに特徴があり、飲み方のバリエーションが豊富なセイロンティー。一般的に、個性の強い高地産茶は、それぞれの本来の味を楽しむため、まずはストレートで飲んでいただくのが良いでしょう。特にヌワラエリヤは、その繊細な花のような香りを楽しむためにも、ストレートがおすすめです。しっかりしたコクと渋みがあるウバやディンブラは、ミルクティー向き。ミルクを加えるとマイルドでより深い味わいになり、カップ水色も理想的なミルクブラウンになります。キャンディはそのクセのなさからどんなバリエーションにも向きますが、とてもクリアなアイスティーが作れるので、アイスティーにおすすめです。ルフナは、ちょっとウッディーな風味が特徴なので、ストレートで淹れてお砂糖を加えると、黒蜜のような深い甘さを楽しむことができます。
一般的に売られているセイロンティーは、産地別の物はあまり見られません。スリランカの中の各産地の茶葉をブレンドして、「セイロンティー」として作られていることが多いからです。その中でもミルクティー寄り、ストレート寄りとメーカーによって風味が違います。ご自分の好きな飲み方に合わせて、好みのセイロンティーを探すのも楽しいですね。
アーマッドティー セイロンの特徴
一般的に販売されているセイロンティーは、セイロンのあちこちの産地から茶葉を集めてブレンドし、会社ごとのセイロンティーの味の特徴を出しています。一方で、アーマッドティーのセイロンは、初代オーナーのアーマッド・アフシャーがセイロンで紅茶ビジネスを手掛けたことから、セイロンティーのブレンドにも並々ならぬこだわりを持っており、セイロンの中でも香りと渋みが十分に感じられるヌワラエリヤなどのハイグロウンティーを中心にブレンドされています。
アーマッドティーのセイロンの味わいは、雑味がなくとても素直で、すっきりとした渋みがあり、ホットでもアイスでもおいしくいただくことができます。バリエーションティーのベースにもぴったりで、フルーツとの相性がとてもよく、様々な種類のフルーツをくわえて作る華やかなフルーツティーなどがおすすめです。
セイロン 茶園を旅して
スリランカでは、茶園の標高によって紅茶の個性が違うことはお話しましたが、実際に行ってみると、それぞれの産地によって周りの景色や雰囲気も一変するのが非常に興味深いです。標高が高いところでは、見渡す限りの斜面に茶園が一面に広がっているのですが、だんだんと標高が下がっていくにつれて、ゴムのプランテーションやスパイス農園と茶園が混在していたりします。
最近では、色々な茶園が現地見学ツアーを行っていて、茶園でのお茶摘みや、製茶工場の見学、ティールームで作りたての茶葉の試飲ができます。紅茶に興味をお持ちの方は、機会があればぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
この他にも、例えばヌワラエリヤは、イギリスの植民地時代には避暑地として開発された(インドのダージリンと似ていますね)こともあって、郵便局やホテルなども植民地時代のものが健在です。中には昔の製茶工場を改装したホテルもあり、ホテルそのものが博物館のよう。サービスにも古き良き伝統が残っていて、冷え込む晩は暖炉に火を入れたり、部屋に湯たんぽを持ってきてくれたりと、かいがいしくお世話をしてくれます。なかには朝早く部屋までティーセットを持ってきてくれる、ベッドティーのサービスもリクエストできるなど、ちょっとした贅沢気分を味わうことができるホテルもあります。
まとめ
セイロンティーというと、昔からお馴染みであるぶん、ややオールドファッションであまり特徴がない紅茶といった印象をお持ちの方もいるかもしれません。しかし、小さな島の中に個性豊かな産地がたくさんあり、それぞれで非常においしいセイロン茶葉がつくられています。一般的な「セイロンティー」も、様々な産地のセイロン茶葉をブレンドし、より一層おいしい味わいを生み出すティーテイスターの技術の結晶。そんな奥深いセイロンティーの魅力を、ぜひ味わってみてくださいね。